
絶好の秋晴れの一日、奈良に遊んだ。
興福寺・二月堂の鬼子母神堂の前のザクロがたわわに実をつけていた。
あれほど鈴なりのザクロを見るのもはじめてだが、真っ青な空のもと、
深紅の色合いがあまりにも濃い。
「鬼子母神」というのはある神様の美しい妻で、500人もの子持ちであった。
その母が、人間の子供をさらっては食べていた。
嘆き悲しむ人間たちに相談されたお釈迦様は500人の子供のうちの一人を
隠してしまった。
鬼子母神は嘆き悲しみ、お釈迦様に助けを求めた。
そこで諭されて、自分の所業がいかに罪深いものであったかに気付き、
それからは子供を守る神様になったという。
ザクロだが、なんでも人肉の味に似ているらしい。
そこでお釈迦様は「子供をさらいたくなったら、ザクロを食べて、
自分の子供がいなくなった時の苦しみ、悲しみを思い出すように」と
鬼子母神にザクロを渡したとの事だ。
そう思ってみると、ルビーのように美しい深紅の実も禍々しく
(まがまがしく)見えてくる。
ザクロには気の毒な話だ。
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