絵手紙いいNetマガジン-13号 『ネコ』

サツマイモ

先日ラーメン店へ入ったら、少し先のテーブルに先客がいた。
年の頃は20代の終わりか30代の始めか。
眼鏡、小太りで、失礼だったらお許し頂きたいが、世間でいわゆる”オタク”と呼ばれている方々の雰囲気である。

彼の席にラーメンと小鉢が運ばれてきた。
見るともなく見ていると、ラーメンを少し小鉢に取り、お箸でさらに少量を持ち上げるといきなり「フウッフウッ」と吹き出し、冷めたとみるとようやく食べ始めた。

大の男性が頬を膨らまし、こちらに息が届くのではないかと思うほどの肺活量で吹きさましている様にあまりにも意表をつかれて、ボーゼン。

あんなに冷めたラーメンなんて旨くはなかろと思ったが、失礼、「猫舌」の君なのですね。

熱い珈琲を飲んでいて、手にでもこぼそうものなら、熱くて飛び上がる。
それなのに人間は平気で熱いものを飲むし、凍ったキャンデーもガリガリと食べる。
なぜ人は「猫舌」でなくて、猫は「猫舌」なのか。

長い歴史の中でヒトは生き延びる手段として、いろいろなものを自由に食べるため、口腔(こうくう)の感覚をあえて鈍くしたようだと言われている。

つまり、ラーメンの君の舌は敏感で、あっけにとられているこちらは鈍感な舌、なのである。

で、猫舌だが、もちろん動物は煮炊きしないので、犬も馬もキリンもネズミも皆「猫舌」という訳だ。

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