
何気なく食べているお寿司だが、なかなか深い「味わい」があるようだ。
たとえばマグロの寿司ネタ。
実に切り口が美しいが、これを切るのは「片刃」と呼ばれる和包丁だ。
万能包丁や洋包丁の刃の断面は左右対称のくさび形で表裏がない。
これに対して和包丁は刃裏側に鋭利な鋼の刃がつき、
刃表は地金が傾斜する非対象形なので「片刃」と呼ばれる。
刃が薄く、切断面を小さくできるため、切れ味が鋭く、
柔らかな魚の身も鮮やかに切れるのだ。
お寿司屋さんによると、刃裏が当たった切り口が表で、
表を上に寿司を握るという。
裏はわずかに毛羽立っていて、見た目も舌触りも違うそうだ。
日本料理は美しいと言われるが
表裏が違う包丁は世界でも日本だけということで、
こんな繊細な工夫や感覚がそれを担っている訳だ。